スチームボーイのDVD買ってきて見ました。
うーん、正直、個人的にはちょっといまいちかも
悪くは無かったです。悪くは無いんだけどねぇ…なんつーか、特に心に残るものが無かったというか、なんというか。
まずストーリー。
確かに企画当初-つまり10年前-は、丁度Windows95が出た頃で、コンピュータが紡ぐであろう未来に対する期待と不安みたいな空気は確かにあって、作品のテーマ-科学の発展に対する是と非-とのシンクロみたいなのはあったと思います。
しかし、なんていうか、今となってはもう…なんですよね。
例えば携帯電話とかふつーに皆使うようになっちゃってますし、もはやテクノロジーは生活の中に入り込んじゃって、特に特別なものではないと言うか。
それは作画の方にも言える事であって、今となってはフルデジタルアニメなんて別に珍しくもなんとも無いし。というか、技術的にはむしろ既にちょっと古いかも。
話はちょっと変わりますが、「綺麗だなぁ」と思える風景とか絵とかって、「光」が非常に重要だと思っています。
心に残る風景でもいいですし、何かの作品の印象的なシーンでも良いですが、思い返してみれば、きっとそこには印象的な「光」があるんじゃないかと思います。
かつて、アニメがまだセルで作られていた時代、「透過光」という撮影テクニックがありました。アニメの印象的なシーンでは、かなり透過光が重要な役割を占めていたように思います。
物理的な「セル」が無くなって、デジタルになった当初は、何故かこの透過光表現が忘れられていたように思いますが、最近は又使われ出してるかな?
3Dグラフィックスの世界でも、最近は光の表現と言うのが大きなテーマになっていて、HDR (High Dynamic Range) )レンダリングによる、光の溢れ出し(ライトブルーム)や、光の回折による光線等の処理がトピックになっています。
ところが、ですねぇ。スチームボーイでは、なーんか画面が全体に暗いんですよ。いや、実際には暗い訳じゃないんだけど、そう感じちゃうシーンが多い。
ディテールには非常に凝ってる事は良く分かるんですが、結局ディテールってテクスチャになっちゃうと言うか。
絵画はディテールでも良いんですが、アニメではむしろフォルムが重要なんでは無いかと思います。ところが、画面全体にごちゃっとしちゃってて、光で浮き上がらせるとかもしていないので、フォルムが埋没して目立たない。
特に問題に感じたのは、ラストの基礎工事用クレーンが襲いかかるシーンなんですが、クレーンの形が良く分からない。おかげで、どこをどう飛び回ってるのやら、何が起きてるのやら。
比べる作品では無いかもしれませんが、フルデジタルアニメという事で敢えて名前を出しますと、「雲のむこう、約束の場所」の方が、個人的には良かったです。
絵的にも、ストーリー的にも。
新海監督の光の表現は、本当に素晴らしいからなぁ。
あと、テーマ的にも、大友さんの感性はもはや古くなってる気が。大上段に「科学の力を民衆に!」とか言われてもピンときません。それこそ、「遠く星の向こうに離れてしまった彼女と携帯電話で」の方が、なんかしっくり来ると言うか(^^;
まぁ、私自身がプログラマーなので、現代テクノロジーの内側にいると言うか、コンピューターに対して良く分からないブラックボックス的な印象は特に持っていない…というのも大きいかもしれませんが…。
なんにせよ、スチームボーイは時間かけすぎって事かもです。
お金と時間かければ良いという訳では無いというか。
ただでさえ今は時代の流れが速いんだから、10年も経ったら何だって陳腐化しちゃう。
新海監督の作品とか見ると、デジタルアニメの最大の利点は、少人数で、お金もそんなにかけずに作れるって点じゃないかなぁ、とも思うしー。